家造りの基本
 日本人は古来よりずっと木の家に住んできました。それは、日本の気候風土が高温多湿であることに起因しています。
このことが、日本に住宅を建てる大原則にな
ります。
@  「木造は地震に弱い」は大きな誤解
 平成7年11月28日から平成8年にかけて、史上初の木造住宅実物大実験が世界最大の起振装置を有する(財)原子力発電技術機構多度津工学試験場(香川県多度津町)で行われました。ごく普通に見られる2階建ての住宅(133u)に計8回の大地震の衝撃を加えましたが大きな損傷は見られませんでした。その結果「プレハブ、2×4に遜色なく、基準に則した木造住宅は阪神淡路大震災級の地震にも耐えられる。」でした。
(資料 「木造住宅実大振動実験報告書」 財団法人 日本住宅・木造技術センター)
A  木造住宅は、乾燥と通気を良くすれば半永久的に長持ちする
 木造住宅の寿命は20年から30年くらいなどと言う営業マンもいますが、これはあまりにも建築知識が乏しいと言わざるを得ません。
 なぜなら、1300年前に建てられた法隆寺の柱が、今なお芳香を失わず生き続けているように、木材は十分に乾燥した状態にしておけば大変長持ちするのです。つまり、木造住宅の耐久性を向上させるポイントは、木材の乾燥と通風を図ることです。


 そのためには、次のようなことに考慮すべきと考えます。
  柱や梁及び間柱、筋違、根太は全て乾燥材を使用する。
  床下は防湿フィルムを敷いた上にコンクリートを打設する。
  小屋裏、床下の換気を十分に図り、防湿につとめる。
  基礎の高さはできるだけ地盤面から40cm以上確保する。
  土台は、湿潤に強く白蟻に侵されにくい材質を選ぶ。(桧、米ヒバ、栗等)
B  高温多湿の日本には、木の家こそふさわしい
 最近、住宅の居住性の面から木造住宅や木材の内装を志向する方が増えています。それは単に「温かみが有る」とか「落ち着きがある」と言った感覚的なことだけでなく、木の持つさまざまな優れた特性が見直されているからではないでしょうか。
 高温多湿と言う気候風土の日本、特に本州では夏向きの家が基本とされます。そこで注目すべきは木の家です。木は湿度が高くなると湿気を吸収し、湿度が低くなると放湿する自動的な湿度調節機能を持っています。

 また、高温多湿であるからこそ床下の施工・構造がとわれ、次のようなことが重要となります。
  床下の土から生じる土気を防ぐ。
  床下の通風を良くして絶えず乾燥させる。
C  「結露対策」に天然素材を活用
 最近、住宅の気密化を重視するあまり、湿気対策が大きな問題となっています。湿気がもたらす直接的な問題は結露とカビです。なお、結露対策として最も効果的なことは、生活環境の改善です。例えば、ヤカンでお湯を沸かす時レンジフードの換気扇を回すとか、暖房器具の見直しをする(石油ファンヒーターは、1.8リットルの灯油を燃やせば、1.8リットルの水蒸気を発生させていると言っても過言ではないのです。)、或いは熱交換型の換気扇をつける等の事で、室内の表面結露は、かなり防げます。壁内結露(内部結露)は、壁内に柱、間柱、胴縁等かなりの木材が使われており、これらの吸放湿作用によって壁内結露を防いでくれますが、その許容範囲を超えた時壁内結露が発生します。もし壁内結露が発生しているとしたら、生活環境を改善する必要があります。30年以上建築に携わってきましたが、その間古い家の解体、改造工事を数多くやってきましたが、今だかって内部結露による躯体(柱、土台、梁等)の変質を見た事がありません。おそらく変質があったとすれば、それは室内からの湿気ではなく、外部からの雨水の浸入や給水、給湯の漏水によるものと考えられます。
 夏は、高温多湿の外気が室内に入り、エアコンなどで冷やされた部分に触れて結露しますし、冬は寒冷な外気に冷やされた壁や窓ガラス、押入などに結露します。いずれにしても、結露は、内部と外部の温度差によって起こるのです。
 結露による建物への被害は、カビです。結露がカビの発生を助長するからです。カビも生物ですから当然水分を必要とします。そこで、結露防止のため室内仕上に吸放湿材の仕様が望ましくなります。この吸放湿材として最も優れているのが天然木です。これにより、菜種梅雨、梅雨、台風の時、秋の長雨による室内の高湿化対策にもなります。
D  木の家は、目にやさしい。
 木造住宅や木材をふんだんに用いた室内に入ると、私達は自然な温かみを感じます。それは、木材の視覚特性によるものです。
 一つは、木材の表面に現れる木目です。木の種類や場所によって、山形の曲線だったり、波状、しま模様だったりという木目が、人の目に自然な深みのある感じの良いイメージを与えてくれます。
 もう一つは、色調です。明度の高い木材を使えば「明るく温か味のある」、明度の低い木材を使えば「重厚な」イメージになります。そして、木材には紫外線を吸収するという大きな特性があります。雪目の例でもわかるように、人の目にとって紫外線は有害です。木材は紫外線の反射が少なく、目に優しい素材と言えます。
E  住む人に癒しと安らぎを与える木の香り
 木の家の大きな魅力の一つに木の香りがあります。木の香りの成分には、さまざまな働きがあり悪臭を消す消臭作用、ダニの発生を抑制する防ダニ作用、害虫を殺したり追い払ったりする殺虫作用などが知られてています。そして、何より木の香りは、ストレスを解消し心身をリフレッシュと言う癒し作用があります。その顕著な例が「森林浴」です。森の中で樹木の発散する芳香「フィットンチッド」を胸いっぱいに吸い込むと心身を健康にすると言うことが科学的にも明らかになっています。
F  木造軸組工法は、間取り、設計が自由
 長い年月の間には、子供の誕生、成長、結婚など家族構成も暮らし方も変化します。住まいも、その変化に合わせて変えられてこそ良い家と考えます。
 その点、特に柱と梁で屋根を支える軸組み工法による木造住宅は、設計の自由度が高く他の工法にはできない設計もいろいろあります。そのうえ、増改築もしやすく暮らしの変化の対応性を最も良く備えています。